つじの骨粗鬆症・整形外科クリニック~整形外科・リウマチ科・リハビリテーション科~
TEL:072-753-4152 / 市立池田病院から南へ徒歩約1分

骨粗鬆症の専門外来

当院の骨粗鬆症の専門外来について

加齢と共に骨がもろくなり、骨折の危険性が高くなる骨粗鬆症ですが、推定約1,800万人という非常に多くの患者様が患っているにも関わらず、何らかの治療を受けている患者様は2割以下という現状があります。また、骨折してから初めて骨粗鬆症だったことを知る方も少なくありません。

当院の専門外来では、骨粗鬆症の専門知識をもった医師が患者様の骨の状態をわかりやすく丁寧に説明し、きめ細やかな治療を行ってまいります。
当院では、DEXA法での全身型骨密度測定装置を導入し、精密な検査が可能です。
検査の結果、骨粗鬆症の患者様には、食事、運動などの丁寧な生活指導を行い、進行状況により薬物療法を行い、一次骨折を予防いたします。

骨粗鬆症の病気は、骨量が減ってしまう前に治療を始めることが大切です。女性は閉経後に急激に骨量が減りますので、閉経したらまず検査を受けることをお勧めいたします。

どうぞ気軽にご受診ください。


骨粗鬆症検診を受けてみませんか?

池田市に在住の18歳~70歳の方であれば自己負担1,200円で年に一度、骨粗鬆症検診を受けることができます。この機会に骨密度の測定をしてみませんか?
(71歳~の方、池田市以外の方も健康保険を使って測定できます)

骨粗鬆症はどんな病気?

骨がもろくなり、骨折リスクが高くなる

骨粗鬆症は、老化などが原因となって、骨の量が減少し、鬆(す)が入ったようにスカスカになり、もろくなって骨折リスクが高くなってしまう疾患です。
骨に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル量(骨密度)は、20~30歳頃の若年期をピークに、年を重ねるとともに減少していきます。
この骨密度が減少をきたすことによって骨粗鬆症と言われる状態になり、背骨が体の重みでつぶれたり、背中が曲がったり、変形による圧迫骨折をきたしたり、ちょっとした転倒で骨折するといった事態を引き起こしがちになります。
現在、わが国で寝たきりになる原因の第3位が転倒による骨折ですし、介護が必要となる原因の10%近くが「骨折・転倒」によるものですから、要注意です。

女性に多い骨粗鬆症

骨粗鬆症は、高齢の女性を中心に年々増加の一途をたどっています。
骨粗鬆症患者の8割くらいを女性が占めており、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下する更年期以降にとりわけ多く見られます。エストロゲンには、骨の新陳代謝に際して骨吸収を緩やかにし、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあります。

閉経して、このエストロゲンの分泌量が減少してきますと、骨吸収のスピードが速まるため骨形成が追いつかず、骨がもろくなってしまうのです。そのため、閉経を迎える50歳前後から骨量は急激に減少し、60歳代では2人に1人、70歳以上になると10人に7人が骨粗鬆症になっていると言われます。 特に女性の方は、50歳になる前に骨粗鬆症の精密検査を受けましょう。

一方、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒なども原因と考えられており、最近では高齢の女性だけでなく、若い女性の骨粗鬆症も問題視されています。

骨折のリスク診断をFRAXでチェック

FRAX(fracture risk assessment tool)はWHO(世界保健機関)が開発した「骨折リスク評価法」です。FRAXは40歳以上の方を対象にしており、この評価法を用いると、その人の今後10年間の骨折のリスク診断が可能になります。
インターネットでWHOのホームページにアクセスし、12の質問に答えると、自分自身の10年以内に骨折する確率(%)が、自動的に算出されます。FRAXは、医療現場でも、薬物治療を始めるかどうかの判断に使われることがあります。
チェック項目の1つ「大腿骨頸部の骨密度」については、体格指数(BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))を入力しても判定が可能で、骨密度の測定が必要無いというのも特徴です。
FRAXで骨折リスクが高く出て心配な方は、医療機関を受診されることをお勧めします。

FRAXの12の質問項目
  • 体重
  • 身長
  • 骨折歴
  • 両親の大腿骨近位部骨折歴
  • 現在の喫煙の有無
  • 現在のステロイド服用、あるいは過去に3ヶ月以上の服用の有無
  • 関節リウマチの有無
  • I型糖尿病、甲状腺機能亢進症、45歳未満の早期閉経など骨粗しょう症を招く病気の有無
  • ビール換算で毎日コップ3杯以上のアルコールを摂取するかどうか
  • 大腿骨頸部の骨密度(またはBMI)

骨粗鬆症の検査

骨粗鬆症の診断には、骨密度の測定、X線検査、身長測定、血液・尿検査などが行われます。

骨密度の測定

骨の強さを判定する際の重要な尺度の1つに“骨密度”があります。当院では、DEXA法(全身型)による骨密度の測定を行っております。

DEXA(デキサ)法
当院のX線骨密度測定装置
DXA法による腰椎,大腿骨,全身,前腕骨の
骨密度測定装置です。

二種類の異なるエネルギーのX線を照射することによって骨密度を測定します。当院の備えるX線骨密度測定装置なら、全身どこの部位の骨密度も高い精度で、しかも迅速に測定することができます。
筋肉量や脂肪量も測れます。

X線検査

主に背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形が無いか、また「骨粗鬆化」の有無(骨に、鬆(す)が入ったようにスカスカになっていないか)を確認します。骨粗鬆症と他の疾患とを判別するのに必要な検査です。

身長測定

25歳の頃の身長と比べて、どのくらい縮んでいるかを調べます。25歳時より4cm以上低くなっている場合は、それほど低くなっていない人と比べ、骨折する危険性が2倍以上高いという報告があります。

血液検査・尿検査

骨代謝マーカーを調べることにより、骨の新陳代謝の速度がわかります。骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人は骨密度の低下速度が速いため、骨密度の値にかかわらず、骨折の危険性が高くなっています。

骨粗鬆症の予防と治療

骨粗鬆症の原因のうち、年齢や性別、遺伝的な体質などは変えることができません。しかし食生活や運動などの生活習慣を見直すことにより、予防と改善が可能です。

食事療法

骨粗鬆症の治療や予防に必要な栄養素は、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、および骨のリモデリング*に必要なビタミンD・Kなどです。
カルシウムは食品として700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日を摂取することが勧められています。これらの栄養素を積極的に摂りながら、しかもバランスの良い食生活を送ることが大切です。
骨粗鬆症の人が避けるべき食品は特にありませんが、リンやカフェイン、アルコールなどの摂り過ぎには注意しましょう。過ぎた量のアルコールは、カルシウムの吸収を妨げたり、尿からのカルシウムの排泄量を増やしたりします。カフェインもまた、カルシウムの排泄を促します。リンを摂り過ぎると、血液中のカルシウムとリンのバランスを保とうとして骨の中のカルシウムが血液中に放出されてしまい、骨密度の減少を招きます。
*リモデリング:骨を壊す働きをする「破骨(はこつ)細胞」が骨を吸収する一方で、骨を作る働きをする「骨芽(こつが)細胞」が、破骨細胞によって吸収された部分に新しい骨を作る代謝作用のこと。

積極的に摂りたい栄養素を多く含む食品

カルシウム 牛乳、チーズ、干しえび、しらす、ひじき、わかさぎ、いわしの丸干し、えんどう豆、小松菜、モロヘイヤ など
たんぱく質 肉類、魚類、卵、乳製品、大豆 など
ビタミンD アンコウの肝、しらす干し、いわしの丸干し、すじこ、鮭、うなぎの蒲焼き、きくらげ、煮干し、干ししいたけ など
ビタミンK 納豆、抹茶、パセリ、しそ、モロヘイヤ、しゅんぎく、おかひじき、小松菜、ほうれん草、菜の花、かいわれ大根、にら など


運動療法

骨は、運動をして負荷をかけることで増え、丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりし、ふらつきが無くなって転倒防止にもつながるため、運動療法は骨粗鬆症の治療に不可決です。
骨量を増やすには、ウォーキングやエアロビクスなどの中程度の強度の運動が効果的です。激しい運動をする必要はありません。散歩などは可能なら毎日、あるいは週に数回でも十分ですので、とにかく長く続けてください。また背骨の骨折を防ぐためには、背筋を鍛える運動が効果的です。


薬物療法

病状が進んだケースでは、運動療法に併せて薬物療法を開始します。現在、使われている薬には、骨の吸収を抑える「骨吸収抑制剤」、骨の形成(新しい骨を作る)を助ける「骨形成促進剤」、骨の栄養素である各種ビタミン(D、K)剤などがあります。また、腰や背中などに痛みがある場合は、痛みを取る薬も用いられます。どんな薬を選び、いつから治療を始めるかについては、患者様個々の年齢や症状の進み具合、FRAXによる骨折リスクの評価などを考え合わせながら、医師が判断します。
現在治療に用いられている薬には、主に以下のようなものがあります。

ビスフォスフォネート製剤
骨吸収を抑制することによって骨形成を促し、骨密度を増やします。骨粗鬆症の治療薬のなかでも有効性の高い薬です。
活性型ビタミンD3製剤
カルシウムの腸管からの吸収を増やす働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。
ビタミンK2製剤
骨形成を促進する作用があり、骨折の予防効果が認められています。
女性ホルモン製剤(エストロゲン)
女性ホルモンの減少に起因する骨粗鬆症に有効です。閉経期のさまざまな更年期症状を軽くし、併せて骨粗鬆症を治療する目的で用いられます。
SERM(サーム:塩酸ラロキシフェン)
女性ホルモンと似た働きをし、骨吸収を抑制することで骨の量を増やします。
副甲状腺ホルモン(テリパラチド)
骨形成を促進する薬で週1回の皮下注射もしくは、1日1回の自己注射のタイプがあります。最も短時間で骨を形成することができ、骨密度が非常に低い患者さんに適した薬です。